一般的な魚河岸シャツ
港町・焼津の魚河岸シャツ

濱いち屋で仕事をしていると、ご来店いただいたお客様から「魚河岸シャツって何ですか?」
と、聞かれることがよくあります。
お店にテレビ取材が入る時も必ずといっていいほど、この質問から始まります。

公式ウェブサイトの「魚河岸シャツとは」のページに記載させていただいていますが、一番良く聞かれる質問なので改めてこちらのブログでも詳しく説明させていただこうと思います。

魚河岸シャツとは、昭和初期に静岡県焼津市の浜通り(焼津港に近い海沿いの鰯ヶ島・城之腰・北浜通)付近で漁師や水産加工業者が日常的に着用していた、てぬぐいを縫い合わせて仕立てたシャツ「てぬぐい襦袢」が進化したものです。
昭和50年代頃から魚河岸のロゴやマークが染められるようになりブランド化されて、「魚河岸シャツ」という名称で親しまれるようになりました。

本染めの手ぬぐい生地の反物を仕立てた襟無しの半袖シャツで、通気性と速乾性に優れ肌触りが良く、夏でもサラッと涼しく快適に着用できるのが特長です。

当時の水産加工業者たちの間では、年末年始や挨拶の時に社名や屋号の入った手ぬぐいを渡すことが多かったため、手ぬぐいを使いきれずにどんどんたまっていってしまいました。
その手ぬぐいを有効活用するために、5枚の手ぬぐいを縫い合わせてシャツに仕立てたのが始まりです。

単なるブームで作られた「ご当地シャツ」ではなく、エアコンの無い時代に夏を涼しく過ごすために先人の知恵から自然発生的に生まれた、歴史をもったシャツになります。

暑い日に着ると抜群の涼しさが体感できるため、地球温暖化・地球沸騰化が進む中で、省エネ対策や「エコ」の観点からも全国的に注目を浴びています。

昔は使い古されたシャツを台拭きとして使ったり雑巾代わりにしたり、昭和初期の頃は赤ちゃんのおむつとして使われたりと最後まで一切無駄のないように大切に使われていました。
今の時代でいう「SDGs」を先取りしていた最先端のシャツともいえます。

毎年夏になると新聞やテレビでも大きく取り上げられて、焼津市役所の職員さんや焼津市観光協会の職員さんや市内の企業の従業員さんたちが「魚河岸クールビズ」として夏の期間に着用して涼しげに仕事をするのも焼津の夏の風物詩のひとつとなっています。

今年の夏も涼しげで色とりどりの魚河岸シャツを着用した人たちが焼津の街を賑わす姿を見るのが本当に楽しみです。

このブログでは、魚河岸シャツの歴史や文化に関する情報等も発信していきます。